「亡くなるまで」の課題
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認知症になったとき
伊賀市では、65歳以上の⾼齢者の4⼈に1⼈が軽度認知症、7⼈に1⼈が認知症と推定されています。認知症になった場合、誰に生活の支援を受けるか、福祉サービスの利用、施設への入所の有無、通院など、様々な判断が必要になります。認知症になってからでは「認知症になった場合の生活」を自身で判断することができないため、認知症の方を支援する日常生活自立支援事業や成年後見制度などの利用について、事前に考えておく必要があります。なお、市内では、認知症の方が、悪徳商法、詐欺、財産侵害などの被害に遭われるケースが数多く確認されています。
認知症になったとき
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介護が必要になったとき
伊賀市では、65歳以上の⾼齢者の5⼈に1⼈が介護が必要となっており、75歳以上では、3人に1人と割合が高くなっています。介護が必要になった場合、「福祉サービス利用」や「福祉施設入所」の手続きなどが必要になりますが、介護が必要になってから、これらの手続きを行うことは困難です。また、福祉施設の入所の際には保証人を求められ、なり手がいない場合は入所を断られるという問題も全国では発生しています。
介護が必要になったとき
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医療が必要になったとき
2025年、伊賀市では1,302人の市民が医療ケアを必要としますが、医療制度改革などにより入院できるのは約3割の421人、約7割にあたる881人が在宅医療の対象になると推計しています。在宅医療には介護施設への入所者も含んでおり、介護需要推計からは医療ケアの必要な高齢者なども含めて1,674人の市民が介護施設等のサービスを利用し、医療機関への入院や介護施設への入所ができず自宅での療養や介護を必要とする人が524人にのぼると推計しています。2025年に向けては、これらのことを踏まえた医療や介護、生活支援など、具体的な施策検討と実践が必要となります。
医療が必要になったとき
「亡くなるとき」の課題
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望まない死(孤独死・自殺等)
内閣府「平成29年版高齢社会白書」によれば、高齢者がいる世帯の4世帯に1世帯が「高齢者の独居世帯」となり、今後も増え続けていく予想です。日本では社会的孤立、独居世帯の増加など、一人で悩み、一人で社会生活をしていかなければいけない状況があると言えます。
誰にも看取られずになくなる「孤独死」は年々増え続けるでしょう。
また、コロナウイルスの影響もあってか自殺者も令和2年度から著しく増加しています。望まない死(孤独死・自殺等)
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葬儀を行う人の不在
死体の埋火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が行うことになっています。親族等がいなくても市町村が埋火葬を速やかに行えない場合、遺品整理等関する定めがないため、市町村が遺骨や遺品の対応に苦慮している事例があります。市町村での埋火葬は、葬儀をおこなわない直葬※がほとんどで、お墓の用意や遺品整理をすることはできません。
地方公共団体における遺品の整理に関する事例等 総務省行政評価局(令和2年3月)より
※直葬とは通夜・告別式を行わず、納棺後すぐに火葬する葬儀のこと。葬儀を行う人の不在
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遺品を整理する人の不在
亡くなった後の手続きや整理は、これまでは残された家族等が行うことが一般的でした。今後、更に単身世帯、おひとりさまが増えていく中で、きちんと希望を伝えて、手続きをしておかなければ、自分の望む最期を迎えることができないおそれがあります。親族等がいない場合の遺体・遺品の引き取り・葬儀等について、市町村がおこなうことは、見送りではなく必要最低限になります。
身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン 「医療現場における成年後見制度への理解及び病院が身元保証人に求める役割等の実態把握に関する研究」班(平成30年度)遺品を整理する人の不在
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お墓がない
墓を継ぐ人がいないと無縁墓、放置墓になります。墓の無縁化は誰にでも起こりえます。
実際に自分のお墓が無縁化すると思うかたずねたところ、「いつかは無縁墓になる」と回答した人は 50.3%と半数に達し、「近いうちに無縁墓になる」(4.1%)と回答した人を合わせると、無縁化すると考える人は 54.4%もいました。一方、「無縁墓にはならない」と回答した人は 13.9%にすぎませんでした。
『お墓のゆくえ-継承問題と新しいお墓のあり方-』第一生命研究所:小谷みどり、2010年お墓がない
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本人が望む人生最期の場所で死ねない
人生最期に望む場所は、人それぞれ異なります。自宅を望む方もあれば、医療が必要な場合には、最適な医療を医療機関等で受けたいと願っている方もいます。しかし、「医療が必要になった場合」にもあるように、今後の医療体制(2025年の在宅医療予想図)によっては、入院を希望しても入院ができない場合や、逆に在宅を維持することが難しい場合も考えられます。
本人が望む人生最期の場所で死ねない
「終活」の課題
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終活の仕方がわからない
そもそも「終活」とは何なのかわからない、「終活」に関しての仕方がわからない、どこに相談すればよいかわからないなどの課題があります。
「終活」の意向があるかを聞いたところ、「はい」と回答した人は40.3%でした。年代別に見ると、終活の意向がある人は30代(46.0%)が最も多く、2018年の同調査と比べてスコアが9ポイント以上増加しました。
また、「終活」の意向がある人に、「終活」について不安に感じることを聞いたところ、「何から手をつけたら良いかわからない」(36.0%)と回答した人が最も多く、次いで「特に不安はない」(28.8%)、「自分の死後に希望通り物事が進むか不安」(24.8%)となった。昨年の同調査と比べ最もスコアが増加したものは、「相談できる相手がいない」(昨年:10.8%、今年:18.6%)で、7.8ポイント増加しました。
楽天インサイト株式会社、「終活に関する調査」今回の調査は、2019年4月10日(水)と4月11日(木)の2日間、楽天インサイトに登録しているモニター(約220万人)の中から、全国の20代から60代の男女1,000人を対象に行いました。終活の仕方がわからない
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終活に関する悪質商法等の被害
高齢者の相談をみると、不要品を整理・処分しようとした際の訪問購入に関するものや、かつて原野商法の被害に遭い所有している山林を整理・処分しようとした際の原野商法の二次被害に関するものなどが増加しており、高齢者の「終活」に付け込んだ悪質な商法が目立っています。
(平成30年版消費者生活白書)終活に関する悪質商法等の被害
当事者エピソード
一人暮らし。夫は20歳代のころ亡くなりました。長女は子どものころに亡くなりました。長男は、過去のいさかいが原因で、20年前に一度顔を合わせたきりで今はどこに住んでいるのかも分からず、連絡もとっていません。夫の親族とは関係が悪く、また、自身の親族も疎遠となっています。夫の死亡時、お葬式は、女性自身で行いましたが、夫の両親がそれを気に入らずに、両親が再度し直したとのことで、夫と長女のお骨は、分骨し、夫の両親のお墓に一緒に入っていますし、自分も一部を預かっていますが、これまでお墓をつくったことはありませんでした。最近、女性自身が高齢になってきたため、今後のことが不安になりました。女性は、自分が死んだら、お墓もいらないし、告別式もしてもらいたくないと思っています。しかし、夫、長女及び自分の死後の永代供養については希望されています。女性は、「だれが骨を拾ってくれるのでしょうか。」と不安に思っています。
身寄りがなく70代で亡くなった男性がアパートの部屋に残した書き置きがありました。「15万円を残しているので、これで私を火葬にして無縁仏にしてほしい」などと書かれていました。男性は口座に葬儀費用を残していました。しかし、この紙が部屋で見つかったのは、亡くなった7か月後。預貯金は自治体が引き出すことはできません。結局希望通りにはならなかったそうです。
終活は、ご本人の心情・信条に関わることです。
しかし、終活に関わるトラブル等の社会的な問題があります。
ご本人の意思・意向に配慮しつつ、トラブルを防ぎ、
最期まで自分らしい生活を過ごせるようにする取り組みが必要です。
そこで、私たちは
「本人が望む『最期までの生き方と逝き方』ができる社会の実現」に向けて活動を始めています。
なぜ起こる?
課題には事前の備えがないことと機関間の連携・コミュニケーション不足などが
大きな要素を占めていると思われます。
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終活の準備の仕方が
わからない -
終活の悪徳商法の
被害に遭う -
相続で親族が
争うことになる -
認知症になった場合の
準備ができていない -
施設入所する場合の保証人不在で施設に入れない
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介護が必要になった場合に
福祉サービスの利用に
繋がらない -
入院する場合に保証人不在
で入院できない -
医療同意をする人がおらず
望む医療が得られない -
死後事務(葬儀・お墓・遺品整理)を
する人の不在
どう解決する?
たとえば、このような取り組みを
行っています
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日常生活自立支援事業、成年後見制度の利用促進
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利用者主体の介護保険サービスの提供
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伊賀市さぽーとファイルの活用
これから、このような取り組みを
行う予定です
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認知症バリアフリーの取り組み
認知症以外の人にとっても暮らしやすい地域共生社会の実現を図ります。
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相談窓口の設置、遺言作成支援、人生会議(ACP)の取り組み推進
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死や葬儀に関する啓発・学びの実施、エンディングノート作成支援
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病院・施設に対する保証人問題の啓発活動
悲しい出来事は、あなたの力で止められる
地域の課題解決のために
あなたにもできることがあります
ボランティアで支える
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地域交流支援
健康や趣味活動、人との交流などを目的として、地域では様々な活動が行われています。ふれあい・いきいきサロンやラジオ体操などでの活動があります。
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地域食堂支援
孤立や孤食に向けた取り組みである地域食堂(子ども食堂)や高齢者への配食サービスの活動では、調理、配達、準備などの活動があります。
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高齢者支援
少子高齢化が進む中、一人暮らし高齢者も多くなってきています。電球交換や草刈り、清掃、話し相手など、助け合いの活動があります。
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外国人支援
日本語での会話が困難であることや情報が届きにくい外国人住民を支える、やさしい日本語や通訳、翻訳などの活動があります。