「災害時避難行動要支援者」ってどんな人?
高齢者や障がい者などの避難行動に支援を要する人や、乳幼児や子ども、妊産婦、外国人、難病の方なども想定されます。
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高齢者
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障がい者
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妊婦・子ども
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外国人
近年の災害と、被災者に占める
高齢者の割合
「災害時避難行動要支援者」やその支援者の課題
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避難行動要支援者の
避難行動の課題- 危険察知または情報を受け取ることが困難
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危険を知らせる情報に対して適切な行動をとらない、またはとることが困難
- 避難支援者を決めることができない
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地域支援者による
避難行動支援の課題-
要支援者の把握がしづらい
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要支援者の特性に応じた情報伝達や避難誘導の方法が解らない
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高齢化が進む地域など、避難支援者が避難行動要支援者でもある
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避難支援者の
避難生活上の課題-
避難所の環境が整っていない
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情報取得・伝達がしづらい
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適切な医療を受けられない
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免疫力低下、健康・衛生管理が十分にできない
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介助者の不足
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集団生活になじめない
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当事者エピソード
災害の記憶 昭和28年8月 東近畿水害、台風13号
「山津波被害で助けられなかった家族の命」
私は昭和28年8月15日未明の山津波に遭遇しました。その年は5月頃から雨が多く、毎日のように続いていました。14日の夜、母が区の集会に行って、帰ってきたのは11時頃でした。母が「西の空が真っ暗で、晩には何ぼ雨が降るか分からん」と言って寝ました。私は、なんだか気になって寝られませんでした。家の東にある川の水の音が気になって、三時に起きて東の窓を開けてみたら、もう水が道を越えて石垣の半分くらいまで水に浸かっていました。
これは大変だと思って、家族を起こして持って逃げるのに大事な物だけでも用意しました。ゴロゴロと雷鳴と稲妻で、庭に立っていても地震のように地面まで響き電気も消えて真っ暗になりました。これは大変だと思って、避難しようとしましたが、東の道は一面水でいかれません。西へいかなくてはと思いました。兄は仕事でいませんでした。
母と姉と姪と4人で90歳を過ぎた祖母を運びだそうとしたのですが、私たちだけではどうすることもできませんでした。母は、祖母がいるので家に残りました。しかし降り続いている雨で川の水があふれ、家の裏の杉垣の間から泥水が家に向かって押し寄せてきたそうで、母はビックリして私たちの後を追ってきました。姉の家と東の藪の間から畑や田を押し流して大量の泥水が流れ込んできて一面川のような道を、母は「早う、おばあを助けに来てくれ」とやっとの思いで這うようにして渡ってきました。分家の人達が「助けにいってやる」と言って出てくれましたが、田や畑であったところが一面川のようになっていて、渡ることが出来ません。他の家の人はほとんどみんな、お寺の山に集まってきて避難しているということで私たちもそこへ行きました。
しばらくすると心配して見に来てくれた人が「家の方へ行ったが、家も小屋もなにひとつなくなっている」と教えてくれました。私たちはビックリしましたがもう涙も出ませんでした。本当に悲しいときは涙も出ないと言いますが、このことだなと思いました。
そのときの様子は、あれから約60年経ったいまも、私の脳裏にハッキリ焼き付いて離れません。
災害の記憶 伊賀市社協 地域福祉コーディネーター
「地元での災害経験を教訓にした、災害に強い地域づくりを」
伊賀地域では、平成25年台風18号による豪雨が降り続き、市の災害時緊急情報メールが早朝4時頃から10分おきに鳴り続けていました。夜が明けて雨は止んだものの、私の担当エリア付近で浸水被害があるとの情報を聞いて、現場に駆け付けました。被害状況が明らかになると、45軒の床上浸水と8軒の床下浸水が発生していることがわかりました。被害地区では、既に被災者により家財の搬出作業も始まっていましたが、高齢者や寝たきり世帯などの自力で復旧できない人がいることも想定され、被害地区への災害ボランティアセンターサテライトの開設に踏み切りました。
伊賀市社協では、これまで東北や熊本など全国の災害支援に延べ37人の職員派遣をしていますが、外部からの受援は初めての経験でした。わずか1日でのボランティア募集にもかかわらず、駆けつけてくださったボランティアや地元企業、団体のみなさんによって、床下浸水の泥だしや家財の清掃などが手際よく進められたおかげで、被災者が日常生活を早く取り戻すことができました。
また、被災地区のリーダーは、被災者宅を訪問して困りごとを聞いて災害ボランティアセンターに繋げたり、近隣の住民が公民館でボランティアの休憩所を運営したりするなど、日頃の地域の繋がりの強さが、受援力にも活かされていることを実感しました。
一方、後日聞いた話によると、一人暮らしの要介護の高齢者が、地域住民から避難を呼びかけられた直後に家に水が流れ込み、2階に避難できずベッドに寝ていたそうです。幸いベッド下までの浸水だったので、ボートで救急隊員が避難誘導して最悪の事態は免れましたが、もし水量が多ければ大変な事態を引き起こしていたところでした。
また、自治会に加入していない外国人住民が住んでおり、日頃から住民情報が把握できていないため避難情報も届けることができず、避難が遅れたことを聞きました。
私たちは災害の教訓を活かして、災害時避難行動要支援者などが再び取り残されることのないよう、日頃からの地域づくりに取り組んでいます。
過去の災害を教訓として、災害時に自力で避難できない方多くの障害者や高齢者が必要な支援を受けられず、
命を落としたり、孤立したりすることを避けなければなりません。
どう解決する?
そこでわたしたちは、災害時の状況下においても、災害時避難行動要支援者の心配や不安を取り除き、
危険を少しでも回避できるよう、
災害時避難行動要支援者の「安心・安全」と、
被災者の「早期通常生活復帰」の実現に
向けた地域づくりに取り組みます。
たとえば、このような取り組みを
行っています
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災害対策(自助)の推進
緊急時や災害時の安心・安全への備えとして、医療情報を専用容器で冷蔵庫に保管する緊急医療情報キット(わたしの安心シート)の活用・更新支援や、家具転倒や飛散防止、火災警報器の設置など、自助の取り組みを推進します。
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安否確認マニュアルの整備・普及
避難行動要支援者の避難誘導や災害時の情報伝達、安否確認・家庭訪問、避難支援、救護・救出方法などを想定したマニュアルの整備・普及を支援します。
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伊賀市災害ボランティアセンターの運営
市・社協・NPOの三者で災害ボランティアセンターを常設設置し、防災活動や人材育成等を行います。関係機関や災害救援ボランティアの活動により生活再建を支援します。
これから、このような取り組みを
行う予定です
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避難行動要支援者名簿の登録・活用支援と避難行動要支援者参加型の避難訓練の実施
避難行動要支援者名簿の登録支援や支え合いマップ作成、見守り・避難支援方法の検討、要支援者参加型の防災訓練を推進します。
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障がいや言語等、特性に応じた伝達手段確保
危険察知または情報を受け取ることが困難であったり、危険を知らせる情報に対して適切な行動をとらない、またはとることが困難な避難行動要支援者に、的確な情報や指示などが伝わるような伝達手段の確保に取り組みます。
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避難所プライバシー配慮対策
避難行動要支援者を受け入れることが可能な避難所施設を増やすために、使いやすいトイレやプライバシーの確保などに配慮した避難所への対策活動を行います。
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民間福祉避難所運営団体普及
民間施設のうち「バリアフリー」「支援者をより確保しやすい施設」など福祉避難所として利用可能な施設の把握に努めます。また、一般避難所においても、避難行動要支援者に配慮した運営ができるよう、避難の安心・安全と、避難生活のしづらさの減少をめざします。
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災害時避難行動要支援者サポーターの養成・登録・配置
災害時避難行動要支援者に対する、安全な避難移動支援に役立つ知識や技術を身につけるための人材養成を行います。また、各避難所への人材配置もイメージしながら、災害時避難行動要支援者の心配や不安を取り除くための共助の仕組みづくりに取り組みます。
悲しい出来事は、あなたの力で止められる
地域の課題解決のために
あなたにもできることがあります
ボランティアで支える
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地域交流支援
健康や趣味活動、人との交流などを目的として、地域では様々な活動が行われています。ふれあい・いきいきサロンやラジオ体操などでの活動があります。
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地域食堂支援
孤立や孤食に向けた取り組みである地域食堂(子ども食堂)や高齢者への配食サービスの活動では、調理、配達、準備などの活動があります。
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高齢者支援
少子高齢化が進む中、一人暮らし高齢者も多くなってきています。電球交換や草刈り、清掃、話し相手など、助け合いの活動があります。
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外国人支援
日本語での会話が困難であることや情報が届きにくい外国人住民を支える、やさしい日本語や通訳、翻訳などの活動があります。