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干川レジュメ

伊勢湾台風40年全国率先市民みえサミット第1分科会1999.12.5於:
三重県消防学校

災害情報ボランティアのこれまでとこれから

報告者:干川剛史(大妻女子大学)
E-Mail:HGF00715@nifty.ne.jp
WWW:http://apollo.m.ehime-u.ac.jp/~hosikawa/2index.html


1. 阪神・淡路大震災における情報ボランティアによるコンピューター・ネットワーク利用の実態

(1)情報ボランティアの活動

◎情報ボランティア:情報流通の重要度に着目し、物資輸送や避難所運営などの被害者の直接的救援ではなく、むしろ救援活動の裏方として情報の収集・流通を図るボランティア

○情報ボランティアが震災当時扱った情報の種類と流れ
1) 被災地内部と外部との間の情報−−安否の問い合わせや援助の申し入れ
2) 被災地の内部から外部へと流れる情報−−援助要請や状況報告
3) 救援現場から救援センター(行政機関や物資配給所など)への情報−−被災地や避難所の状況報告、避難所からの物資要求
4) 被災地内部の住民や救援現場へ向けた情報−−行政手続きの情報(罹災証明や仮設住宅の募集など)、生活情報(水・食料の配給場所、道路・交通状況、利用可能な風呂屋・店鋪)など

(2)震災における情報ボランティアの課題

○阪神・淡路大震災でコンピューター・ネットワーク利用の成果:「コンピューター・ネットワークを使った救援活動は、試行錯誤の連続であり、なかなか思うようにいかなかった」[神戸大学<震災研究会>:1 56]

1) 震災でのコンピューター通信の実情:コンピューター通信は、被災地外の人に状況を伝えるという点に関しては、一定の効果を発揮したが、被災者を支援するための活動には、思ったほどの効果をあげることができなかった
2) 問題点
1) コンピューターを用いる側の問題−−被災者への支援活動は試行錯誤の連続であり、体制が確立するまで時間がかかってしまった
2) 被災地におけるコンピューター通信の技術的基盤の不足−避難所はおろか、兵庫県庁や神戸市役所ですら、インターネットに接続する機器はなかった。それに、震災当時、パソコンやコンピューター通信を使いこなせる人材が決定的に不足していた

2. 阪神・淡路大震災以降の災害救援ボランティア活動における情報流通の課題

(1)災害救援に携わるNPO、情報ボランティア、行政機関などの諸主体間の情報流通面での連携

1) 日本海重油災害
・各地のインターネット利用者やボランティア、NPOなどのホームページ−−情報はきめ細かいが、広域性と網羅性に欠けていた・中央省庁(運輸省や海上保安庁など)や被災自治体(新潟県など)のホームページに
掲載された情報はきめ細かく正確であるが、各地で重油回収にあたるボランティアやNPOにすぐに役立つような形で情報を提供していなかった・メーリングリストでの情報流通を除いて、情報流通面でのNPOや情報ボランティア、行政機関の間の連携が行われていなかった。
2) 98.8東日本水害
・福島県内・栃木県内の災害救援NPOと自治体がホームページの相互リンクを張るなどの連携が見られた。
3) '98高知豪雨水害
・被災地内の自治体と水害救援にあたるNPO、情報ボランティア、新聞社の間で、さらに、それらと被災地外のNPOや情報ボランティアとの間でも、それぞれのホームページに相互リンクを張ったり、メールのやり取りを行ったりして、情報流通面での連携が試みられた
4) 津山水害
・津山市のホームページWeb masterが、ボランティアとして救援活動に参加しながら、地元の情報ボランティアや教育研究機関(津山高専、津山工業高校など)の教員や学生・生徒の支援を受けながら、また、地元のCATV局(テレビつやま)と連携しながら、救援活動の現場から直接、詳細な情報をホームページで発信していた

(2)被災地内部における情報ボランティアの活動とその連携の問題

○震災から今日にいたるまでの災害では、災害発生直後から、被災地内で被害・安否情報などを収集し、被災地外に被災地内部の情報を発信する役割を担う被災地内の情報ボランティアが自然発生的に現れるが、その活動の成果はなかなか現地の救援活動に結びつきにくいex)'98高知県豪雨水害・被災地内の情報ボランティア−−「高知県大雨水害ボランティア窓口」や「9・24高知水害恊働ボランティアセンター(水害恊働VC)」との連携体制を作り上げるのが遅れ、現場の救援活動とインターネットによる情報流通活動がなかなかつながらなかった。また、当初は災害救援活動へのインターネット利用のノウハウと経験を持っていなかった・被災地外の情報ボランティア−−被災地内の情報ボランティアと日頃からの人的ネットワークをもっていなかったため、連携体制を作り上げるのに時間がかかってしまい、インターネット上でタイムリーな形でノウハウの提供やアドバイスを行なうことができなかった。また、災害救援NPOの全国ネットワークである「震災がつなぐ全国ネットワーク(「震つな」)」との情報流通面での日頃からの連携が不十分であった

(3)災害救援ボランティア活動における効果的な情報流通のために
1) 平常時からの「顔の見える信頼関係」づくり:平常時からのNPO、情報ボランティア、行政機関、マスメディアなどの間の連絡・調整ネットワークづくり−→災害救援市民活動ネットワーキングにとって不可欠ex)成功事例−−98.8東日本水害での「震つな」、自治体、各種団体の日頃からの地域内・全国的なネットワークづくり
2) 災害救援経験に基づく各分野のノウハウの収集・蓄積・検証・編集ex)ボランティアによる水害復旧作業マニュアル−−98.8東日本水害、'98高知豪雨水害の際に伊永、洙田、中川各氏によって作成
3) インターネット等を活用した情報集約・交換・共有の仕組みづくりex)1999トルコ大震災支援委員会・フロー・内部情報−メーリングリストの活用→treqACml、tweq ml・ストック・メンバー共有用情報−委員会メンバー用のホームページ、メーリングリスト・アーカイブ/DB・ストック・広報向け情報−ホームページの活用→委員会および委員会構成各団体のホームページ